離婚・相続・成年後見・債務整理のご相談。女性弁護士のあおば横浜法律事務所(横浜都筑区 センター南)

女性弁護士にあおば横浜法律事務所
HOME事務所案内弁護士紹介取扱内容法律相談弁護士費用お役立ちメモアクセス

遺産分割

遺産分割協議

遺言がある場合は、遺言の内容に従って、亡くなられた方の相続財産を分けることになりますが、遺言がない場合には、相続財産をどうやって分けるかを相続人間で協議する必要があります。これを遺産分割協議といいます。

相続した不動産の登記、預金や株式の名義変更、相続税の申告などすべての場面において遺産分割協議の結果が記載された遺産分割協議書、または調停調書などが必要となります。

遺産分割協議は、いつまでにしなければならないという期限はありませんが、相続税の申告が亡くなってから10ヶ月以内ですから、申告が必要な方はそれまでに遺産分割協議を終えられた方がいいですし、財産の名義変更なども次の世代への相続が発生するなどしますと手続きが煩雑になりますので、目安としては四十九日経過後くらいからお話し合いを始めるのがいいかもしれません。

この遺産分割協議にあたって、相続人間で争いになることも珍しくありません。
当事者同士で話し合いをしても、感情的対立が深まるばかりで、紛争解決に結びつかないことも多々ありますし、家庭裁判所における調停も基本的には話し合いなので、主張が強い人の方に有利に働いてしまう可能性は否定できません。

また、亡くなった方の財産形成に貢献した場合には寄与分の主張ができますし、他の相続人が生前贈与を受けている場合には特別受益を主張ができますが、当該ケースにおいてそのような主張が成り立つか否かの判断には高度な法的専門知識を要します。

そこで、遺産分割協議に関して、弁護士に委任し、弁護士と相談しながら交渉ないし調停にあたる実益は非常に大きいと思います。

また、弁護士に委任した場合には、当事者同士で顔を合わせて直接交渉する必要がなくなりますから、交渉等に伴うストレスを軽減できるというメリットもあります。

遺産分割協議の流れ

1.話し合い

相続人同士が、または弁護士に依頼した場合は弁護士と他の相続人が、相続財産の分け方について、話し合いをします。

話し合いがまとまれば、遺産分割協議書を作成します。 → 遺産分割協議書の見本

遺産分割協議書に定まった書式はありませんが、全員の実印による署名押印が必要で、印鑑証明書を添付した方がよいでしょう。

この遺産分割協議書を使用して、所有権移転登記、銀行口座の解約などの諸手続が可能になります。ただ、銀行口座の名義変更や解約の手続きにあたっては、銀行所定の書式への記載や印鑑証明書の提出を求められることが多いので、銀行口座の手続きについては各銀行に確認してください。

2.調停申し立て

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。調停は、中立的な第三者である調停委員2名が、双方の話を交互に聞き、歩み寄りができるように適宜アドバイスをして、合意に至るように調整してくれます。中立的な第三者が間に入り、直接の話し合いをしなくてすみますから、感情的対立が深刻になる前の段階で、申立をした方がいいでしょう。

ただ、調停委員は、中立の立場であり、どちらかの味方というわけではないので、ご自分の法的主張はご自分できちんとする必要があります。

そのためには、相続財産をきちんと調査し、その概算額を算出し、寄与分や特別受益について検討しなければなりません。そこで、ご自分の正当な利益を守るために、法律の専門家である弁護士に依頼して、適正かつ妥当な法的主張をされることをお勧め致します。

3.審判

調停でも合意ができずに調停不成立となると、自動的に審判手続きに移行します。審判手続きでは、当事者の言い分を聞いて、審判官(裁判官)が遺産分割の審判をします。

もっとも、遺産分割の審判で必ず最終的に決着がつくわけではありません。たとえば、亡くなった方の不動産を法定相続分に従って共有名義にする、という内容の審判が下されても、当事者の方には、何のメリットもない場合があります。そのような場合は、さらに、共有物分割請求訴訟を提起して、不動産を換価しなければなりません。このように、調停段階で十分話し合いをして、できる限り調停を成立させた方がいい場合もあります。

したがって、遺産分割協議にあたっては、今後の見通しを考えて、手続きを慎重に選択していく必要があります。

弁護士と、司法書士・税理士との違い

司法書士及び税理士は、調停審判手続きにおける代理人にはなれず、調停及び審判に同席できるのは弁護士だけです。司法書士は相続登記の専門家であり、税理士は相続税申告の専門家ではありますが、法律の専門家ではありません。

遺産分割は高度に法律的な問題ですので、弁護士に依頼されることをお勧め致します。
お気軽にご相談ください。

遺産分割に関する用語

●寄与分とは

亡くなった方(被相続人)の事業に従事したり、被相続人の療養看護にあたったりして、被相続人の財産の増加または維持について特別の寄与がある場合に、その寄与した部分について、相続分算定の際に考慮する制度です。

●特別受益とは

生前贈与や遺贈(特別受益)を受けた相続人がいる場合、相続人間の公平のために、相続分算定の際にこの特別受益を考慮する制度です。例えば、

被相続人:夫 相続人:妻、子供A、子供B
遺産額:1,000万円
子供Aは、生前に200万円の贈与を受けていた場合

妻の相続分  : 600万円 [算定式(1,000万+200万)÷2]
子供Aの相続分 : 100万円 [算定式(1,000万+200万)÷2÷2−200万]
子供Bの相続分 : 300万円 [算定式(1,000万+200万)÷2÷2]

遺留分

一定の相続人は、相続財産に対し、遺言をもってしても奪うことのできない取り分をもっており、これを遺留分といいます。

被相続人は、原則として、その自由意思に基づいて、自己の財産を生前贈与したり、遺言を遺して特定の人に全財産を承継させることができます。けれども、たとえば、重要な不動産を愛人に贈与してしまったり、すべての財産をある一人の子どもにのみ譲る、という遺言を遺したりすると、その他残された家族は生活に困ってしまうことがあります。

そこで、最低限の相続財産を一定の相続人(配偶者・子供・親)に承継できるように保証しています。これが遺留分です。兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺言や生前贈与により、自己の遺留分を侵害されているのがわかったら、1年以内に遺留分侵害額請求をする必要があります。

遺留分は相続分の半分です。具体的には



遺留分侵害額請求

遺留分は、当然に貰えるものではなく、請求をしなければなりません。
この請求のことを、遺留分侵害額請求といいます。

被相続人が死亡し、自己の遺留分を侵害するような内容の遺言や生前贈与があることが分かってから1年以内に、遺言や生前贈与を受け、遺留分を侵害した人に対し、内容証明郵便で、遺留分侵害額の請求をしておく必要があります。

請求できるのは、遺留分侵害額に相当する金額の支払の請求です。不動産の持分は請求できません(従前の遺留分減殺請求との違い)。

遺留分を侵害された人は、家庭裁判所に調停の申立をし、話し合いで解決ができない場合は、裁判によって、遺留分の返還を求めます。(いきなり、裁判をすることも可能です。)

遺留分侵害請求ができるのかどうか、判断するのが難しい場合もありますし、遺留分侵害請求権を行使できる期間が1年以内と比較的短期間ですので、漏れのないように速やかに手続を進める必要があります。

当事務所では、公正証書遺言があるかどうかの調査や相続財産の調査を速やかに行い、内容証明郵便を送るところから、お手伝いしています。

お早めに、専門家である弁護士にご相談ください。