離婚・相続・成年後見・債務整理のご相談。女性弁護士のあおば横浜法律事務所(横浜都筑区 センター南)

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相続に関する法律メモ

もっぱら相続税の節税目的の養子縁組は有効ですか。

相続税対策のために、孫やお嫁さんと養子縁組をすることがあります。その有効性について、新しい最高裁判決が出されました(最高裁H29.1.31)。この判決は、もっぱら節税目的での養子縁組であったとしても、ただちに「当事者間に縁組をする意思がないとき」(民法802条1号)に当たるとすることはできないと判断しており、また、この「縁組をする意思がないこと」については縁組の無効を主張する側に証明責任があるという見解に立っていると理解されています。
この最高裁判決をふまえると、縁組意思がないことの証明というのは実際にはかなり困難ですので、もっぱら相続税対策のための養子縁組であったとしても、その有効性を争うことはいっそう難しくなったと考えておいた方がよいしょう。

被相続人には借金も財産もあり、それをまとめて遺産分割調停で話し合えますか。

遺産分割はプラスの財産について分割を行うもので、債務(借金)は法律上当然分割されて各相続人に相続分に応じて承継される、というのが判例です(最高裁昭和34年6月19日)。
ですから、被相続人の債務については遺産分割調停で当然に話し合える内容ではありません。しかし、実際には、当事者の承諾のもとで、借金も財産もまとめて話し合いをすることが多いです。ただ、紛糾して話し合いがまとまらなかった場合には、借金については相続分に応じて当然に承継することになる、という点は頭に入れておく必要があるでしょう。

被相続人の葬儀費用を負担しました。これを他の相続人に請求できますか。遺産分割調停で話し合えますか。

葬儀費用は、原則として喪主負担ですので、当然に他の相続人に請求できるものではありません。ですので、揉めそうな場合には、あらかじめ葬儀費用の分担について相続人間で話し合っておくことをお勧め致します。また、葬儀費用は相続開始後に生じた債務ですので、相続財産について話し合う遺産分割調停でとりあげることも当然にはできません。もっとも、実際には、当事者の承諾のもとで、葬儀費用も含めて解決することが多いです。

被相続人の預金を相続人が使い込んでいたと思われますが、それを取り戻せますか?また、それを遺産分割調停の中で話し合うことはできますか。

まず、いわゆる使途不明金については、被相続人が勝手に使い込んでいた、ということを証明する必要がありますので、単なる推測で取り戻すことは困難です。
次に、被相続人が勝手に使い込んでいたことが明らかな場合、法律的には、民事訴訟の不当利得返還請求の問題となり、遺産分割調停において当然に話し合える内容ではありません。当事者の合意があれば、遺産分割調停で話し合うことは可能ですが、調停期日の回数を制限されることが多いかと思います(通常3回まで)。

遺産分割協議のやり直しはできますか。

相手方の承諾がある場合などを除き、いったん遺産分割協議が成立したあとに、遺産分割をやり直すことはできません。ですので、納得のいく遺産分割協議を行うことが肝要です。
遺産分割協議で決めた内容が守られなかった場合でも、以前にした遺産分割協議の解除はできませんので(最高裁平成元年2月9日判決)、遺産分割協議のやり直しではなく、遺産分割協議内容の実現を民事訴訟や強制執行手続などで求めていくことになります。

子どものいない姉が夫を亡くしました。姉自身、認知症があり、どのように手続きをしてよいかわからないようです。私が手伝えることがありますか。

ご夫婦の子どもがない場合、配偶者以外に、亡くなった方の両親や兄弟が法定相続人となります。遺言がなければ、亡くなった方のご両親や兄弟と遺産分割の話をしなければなりませんし、資産があれば、相続税の申告なども必要になります。
ご本人の意思がはっきりしていれば良いのですが、認知症等によってご本人の判断能力に問題がある場合には、後見開始の申立などが必要になることもあります。
相続税の申告は期限がありますので、ご本人が手続きを進めることができない場合には、手続きの進め方等について、早めに弁護士にご相談ください。

遺産分割協議書だけで、被相続人の預金は解約できますか。

銀行預金を解約するには、銀行から相続人全員の印鑑証明書の提出を求められる場合がほとんどです。ですので、遺産分割協議書を作成したときに印鑑証明書原本を相続人全員から預かっておくと良いでしょう。そのほかに、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本なども必要となります。

夫の死後、自筆の遺言書が見つかりました

自筆証書遺言は、まず、家庭裁判所で検認手続きをする必要があります。具体的には裁判所に検認の申立てをし、指定された期日に一度行けば終了する手続きです。封がしてある遺言書は開封せずに、そのままの状態で検認を受けなければなりませんが、開封してしまった場合も、とにかくできるだけ速やかに検認の申立てをしてください。

叔母が亡くなり、親戚から遺産分割協議書が送られてきました。その内容に不満ですが、サインしなければならないのでしょうか。

遺産分割協議書は、遺産分割の内容に合意したことを示す文書ですから、これにサインしてしまったら、その内容に合意したことになります。もし、送られてきた文書に納得がいかない場合には、話し合いを求め、もしくは家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てて、調停の中で話し会いを進めていくことになります。

遺産分割調停を起こされましたが、体調が悪く、自分では出席できません。

調停は本人が出席するのが原則ですが、やむを得ない事情がある場合には、代理人を出席させることができます。弁護士以外の者を代理人にする場合には、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

遺産分割協議がまとまらなかったら?

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるのが良いでしょう。相続人のうちの誰が申し立てても構いませんが、共同相続人全員を相手にする必要があります。調停では、調停委員が双方の言い分を聞いて、調整をしてくれます。調停で話し合いをしても、合意に至らない場合には、審判手続きに移行し、家事審判官が強制的に分割の方法を決めることになります。

事実婚の配偶者は相続できますか?

できません。法律婚と事実婚の大きな違いは相続権の有無にあります。
ただ、亡くなった方に相続人がいない場合には、特別縁故者として、国庫に帰属する前に財産の承継を主張できることがあります。
事実婚の配偶者に財産を遺したい場合には、遺言を書いておくことをお勧めします。

遺産分割協議書は、どんな手続に必要ですか。

相続した不動産の名義変更、預貯金や株式の解約払戻し、相続税の申告などすべての場面において、遺産分割協議の結果の記載された遺産分割協議書または調停調書などが必要になります。

遺産分割協議は、いつまでにしなくてはいけないの?

遺産分割協議には、いつまでにしなければならないという期限はありません。ただ、相続税の申告期限が相続開始後10ヶ月以内ですので、申告が必要な方はそれまでに遺産分割協議を終えられた方がいいでしょう。目安としては、四十九日経過後くらいからお話し合いを始めるのがいいかもしれません。

遺言書作成が特に必要な方は?

次のような方には、特に遺言書作成をお勧めします。
@再婚された方(前妻のお子さんと配偶者との間の相続争いを防ぐため)、A子どものいない方(配偶者と兄弟姉妹との間の相続争いを防ぐため)、B主な財産が不動産である方(不動産を特定の相続人が取得するには代償金の支払いが必要です)、C内縁の配偶者などお世話になった方に財産を残したい方
当事務所では、遺言書作成のお手伝いをしております。お気軽にご相談ください。

遺言で決められる事項は制限がありますか?

遺言で決められる事項は法定されています。認知や遺産分割の方法などです。法定された事柄以外の事項を記載しても法的効力は認められません。
よく、遺言の一部に「兄弟仲良く過ごすように」といった内容の文言があります。これ自体に法的効力はありませんが、相続人や利害関係人に対してそれなりの道義的意味はありますから、紛争を防止するのに役立つと思います。

遺言を一度書いたら、訂正することができないのでしょうか?

遺言は、いつでも何度でも訂正することができます。遺言は、その方の有していた最終の意思ともいうべきものだからです。遺言を破棄すれば、遺言自体を取り消したことになりますし、2通遺言書があれば、あとで書いた内容が優先されます。

相続放棄をするとどうなるの?

その人は初めから相続人でなかったことになります。亡くなった方の遺産も引き継げなくなりますが、債務も負担することはありません。
たとえば、亡くなった方に配偶者がなく、お子さんが相続放棄をした場合には、亡くなった方のご両親がご存命なら、ご両親が相続人となりますし、ご両親が亡くなられていれば、亡くなった方のご兄弟が相続人となります。もし、負債が多い場合には、ご両親やご兄弟もあわせて、相続放棄をしなければ、債権者から請求を受けることになります。 

遺言書を書きたいのですが、注意することがありますか?

自分で遺言書を作成したものを自筆証書遺言といいますが、自筆証書遺言が有効と認められる最低条件として、@遺言者が遺言の全文を自書すること、A遺言者が日付を自書すること、B遺言者が氏名を自書すること、C遺言者が遺言書に押印することが必要になります。
遺言にはそれぞれの方式によって厳格な用件が定められているので、無効となってしまうことも多く見られますし、のちのち記載した内容の解釈を巡って争いになることもあります。その点、公証役場に行って作成する公正証書遺言の方が安心ということになるでしょう。
いずれの場合でも、1度弁護士に相談して内容を確認すると安心です。

遺言書はどうやって作成するの?

遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言の3つの方法がありますが、遺言の効力を担保するため、公正証書遺言を作成することをお勧めします。
公正証書遺言は、証人2名の立ち会いのもと、公証人がその内容を確認して、作成します。
遺産相続を巡る争いは、増加傾向にあります。将来の紛争を予防するために、財産の多寡にかかわらず、遺言を作成することをお勧めいたします。

家業を手伝ってくれる三男に、財産を引き継がせたい。どうしたら良いの?

公正証書遺言を作成しておくと良いでしょう。ほかの相続人の権利(相続に対する期待権のようなもの=遺留分)を害しないような工夫が必要です。